自立を願う父さんのお金教育

就学前児童の父です。学校ではあまり学ばないお金の教育をいつ・どうやってわが子に教えていこうかを考えていきます。投資もやらせたいので、父親自ら投資実践しています。家族みんなの力で資産形成を目指すブログです。

GPIFさんに教えてもらう長期分散投資の概念と基本ポートフォリオ

年金の運用というと、マスコミが赤字のときだけ騒ぎ立てるため、国民のためにならない組織であると印象操作されています。そのようなマスコミは確実に愚かですし、印象操作される人もきわめて残念です。

 

日本は国民皆保険制度を有し、20歳以上の人は全員、国民年金は強制加入です。その年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、永続的に安定的に円貨を殖やしたいと思っている機関投資家であり、現に世界最大級の資産規模を有しています。

GPIF自身は直接投資はせず、彼らの基本理念に基づく運用方針を定めて、資産を信託銀行などを通じて投資しています。

私のような個人で長期資産運用を行っている者も、自分たちの生活と資産に基づく運用方針を定めて、資産を証券会社を通じて投資しています。

このような関係をみると、GPIFと庶民の長期投資家とは似ていると思います。どちらも、永続的に安定して円貨を殖やすために投資をしているからです。

 

そんなGPIFですが、HPの説明が簡潔で分かりやすいです。

www.gpif.go.jp

世界最大級の機関投資家が、その投資元本を有している庶民に対して、自分たちの基本理念を、なるべく難しい表現を排して説明しています。内容は、ほとんどバートン・マルキールやチャールズ・エリスの説く「投資の大原則」と変わりません。子供への長期資産運用概念の教材として利用しない手はありません。以下では、GPIFの簡潔な説明を引用し、私が子供に覚えさせたい文言を強調して示しました。なお引用は平成31年1月6日現在のものです。

長期的な観点からの運用

年金は長期間にわたって給付を行うものであるので、年金積立金の運用にあたっても、長期的な観点を持って、必要なリターンを最低限のリスクで確保することを目指すこととしています。

 年金は円貨を長期にわたって庶民に配る訳ですから、その必要額を、長期間運用において、なるべく損失が少なくなるように運用しているということです。

私たちの生活で言い換えるなら、
「必要額」は、住宅購入や子供の大学通学費用に宛てるために蓄えるお金のことです。
「必要額」に応じて、必要なリターンを、なるべく資産を減らさないように殖やしていこうということです。したがって、GPIFは、いうなれば年金に特化したファイナンシャルプランナーであり投資家そのものであるということです。

 

分散投資の意義①

運用の対象とする資産には、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式のように幾つかの資産があります。運用による収益が変動する要因には、経済状況等により資産の価値が変わってしまったり、株式や債券の発行者が倒産してしまうなどがありますが、外国の資産の場合は、これに加えて円高や円安といった為替の影響も受けることになります。

 

 GPIFが長期資産運用で運用対象に選んでいるのは、

  • 国内債券
  • 国債
  • 国内株式
  • 外国株式

のみです。不動産(REIT)投資については、国内株式を通じて僅かに行っています

GPIFは2014年4月から国内株式投資の一環としてJ-REITへの投資を開始していますが、保有額は2016年3月末が676億円、2017年3月末が684億円、2018年3月末が685億円とほぼ横ばい、J-REITの時価総額に対するGPIFの保有額比率は0.6%程度に留まっています。

J-REIT自体の時価総額規模が少ないため、GPIFが投資すると影響が大きすぎるということなのでしょう。

なお、外貨投資や仮想通貨投資は入っていません。GPIFからすると、これらの値動きは完全にランダムウォークであり、投資というよりも投機とみなしているのでしょう。

 

分散投資の意義②

一方、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式という、主要な4資産に分散投資した結果はどうなったでしょうか。4資産に25%ずつ投資したポートフォリオでは、1位になることはなかったものの、5位になることもありませんでした。大きな損失を避けるためには、さまざまな資産に分散投資することが重要になります。

 年金はなるべくリターンを殖やしたいが、リターンが大きい資産は当てられない。だから、分散して持っておくことが重要であるということです。

基本ポートフォリオの項目で明らかにされますが、GPIFはローリスクローリターンの国内債券を35%と多めにしてリターンの土台としています。年金の元本をあまり減らせないからです。

分散投資の意義③

また、国内資産に加えて、外国資産に投資することにより、分散投資の効果は一層高くなります。(国際分散投資
様々な理由により、日本の株式市場の成長が見込めないときでも、外国の株式市場は成長するということがありますし、株式が暴落しても債券が上がるということがあります。世界中の中央銀行が自身の国の経済成長のためにお金を生み続け、そのお金は世界中を流れ続け、成長する資産に集まります。したがって、投資する資産を分散していればいずれかの資産のリターンにありつけ、暴落を食らっても限定的にできるということです。
 

長期分散投資の効果

分散投資をしていても、1年間だけでみるとリターンがマイナスになることがあります。
(中略)

投資期間を延ばしていくと、良い年と悪い年の運用成果は相殺され、投資期間全体でみると収益が積みあがっていきました。

 「リスク」の図でも分かることですが、4資産均等の分散投資では、時間を味方につけて長期運用すればするほど利益と損失の差であるリスクは減っていきます。それどこか、10年間運用では、損失はまったくありません。したがって投資は、長期間ではプラスのリターンが見込める市場(プラスサム市場である株式市場と債券市場)において、長期で行うことが最も重要であるといえます。ゼロサム市場である為替市場や仮想通貨市場などはダメということですね。

 

基本ポートフォリオの考え方

 年金積立金管理運用独立行政法人は「長期的な観点から安全かつ効率的な運用」を行うため、各資産を組み合わせた資産構成割合を「基本ポートフォリオ」として定めています。

具体的には、「安全かつ効率的な運用」を行う観点から、以下のとおり複数の資産を組み合わせて運用を行うこととしています。

H31ねん現在の基本ポートフォリオで定める資産構成割合

  • 国内債券 35%
  • 国債券 15%
  • 国内株式 25%
  • 外国株式 25%

第1期中期計画から第2期中期計画の更新で、基本ポートフォリオにおける国内債券の割合が減少して株式の割合が増加してきました。これは、日本国債の超低金利化によるものと考えられます。受給者が増えて給付額が増え続けているので、下振れリスクを抑えつつ、以前よりもリスクを取って対応しようということです。

率直に言って、GPIFの運用は涙ぐましいです。堅実な長期運用を標榜する個人投資家は、GPIFのブレない姿勢から学ぶことは多いと思います。

 

参考文献です。 

 「投資の大原則」では、インデックス投資の大家であるバートン・マルキールとチャールズ・エリスは、インデックスによる長期分散投資の有効性を説いています。GPIFの運用方針は彼らの投資哲学と符合します。

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