自立を願う父さんのお金教育

小学生・就学前児童の父です。学校ではあまり学ばないお金の教育をいつ・どうやってわが子に教えていこうかを考えていきます。投資もやらせたいので、父親自ら投資実践しています。家族みんなの力で資産形成を目指すブログです。

楽天・米国レバレッジバランス・ファンド(USA360)と他レバレッジバランス・ファンドとの比較

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楽天レバレッジバランス・ファンド(USA360)が2019年11月に新規設定されます。楽天・米国株式インデックスに投資している私は、このファンドに注目しています。本稿では、このファンドを俯瞰しつつ、既存のレバレッジファンドと資産クラスの比較を行いたいと思います。

楽天・米国レバレッジバランス・ファンド(USA360)基本情報

この段落の情報はEDINETで閲覧できる本ファンドの提出書類をまとめたものです。

楽天・米国レバレッジバランス・ファンド 有価証券届出書(内国投資信託受益証券) 2019年10月07日提出 - 投資関係がわかる「有報速報」

  • 資産配分:株式25%:債券75%
  • レバレッジ比率360%
     株式90%・債券270%
     本ファンドでは「スリーシックスティ(360)運用」というらしいです。
  • 株式部分:バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(ティッカーVTI)、株価指数先物
  • 債券部分:国債先物
  • 信託期間:無期限
  • 信託報酬:0.4675%(委託・販売・受託会社合計)+VTI管理報酬等0.03%
        =0.4975%
  • 為替ヘッジ:なし
     実質コストが0.4975%よりもどれだけ高くなるかが問題ですが、信託報酬は既存レバレッジファンドと比較しても妥当と思います。

USA360は現代ポートフォリオ理論における効率的フロンティア曲線上の資産配分でレバレッジするファンドです。つまり、全米株(VTI)と米国債券とでリスク対リターンの割合(シャープ・レシオ)が最も高い資産配分を3.6倍でレバレッジするファンドです。

債券についての詳述はありませんが、米国国債先物とありますので、他のレバレッジ・バランスファンドと同様に、10年ものを主とした2~30年超の国債を取引対象とするのでしょう。

現金のうち、現物投資と先物投資(証拠金取引)の比率については不明ですが、グローバル3倍3分法ファンドと同様に考えると、

のような感じでしょうか。証拠金拠出割合3%程度とすると、17%分で追い証に対応することになります。株価指数先物米国債よりも大幅下落しやすいため、グローバル3倍3分法ファンドと同様に、この現金部分の運用でUSA360のパフォーマンスが決まると言えるでしょう。

USA360と楽天・全米株インデックスとの関係

楽天・全米株インデックスの株100%に対してUSA360は楽天・全米株インデックス90%と米国債券270%ということなので、いうなれば楽天・全米株を90%持ちながら同時に米国債券投資270%で行えるという位置づけです。

USA360が運用する米国債先物金利は、2019年10月現在逆イールド傾向の下でマイナス金利ですが、過去の傾向にしたがうならばいずれ回復しますので、楽天・全米株式インデックスファンドを積み立てている人には魅力的なファンドに映ると思います。私は魅力に感じました。 

USA360と基準価額の変動要因

  • カントリーリスクが高い
    USA360は米国株と米国債券のみからなるファンドであることから、流動性は非常に高いものの、分散性は通常のバランスファンドからすると低いことに注意が必要です。つまり、米国の経済情勢・雇用情勢・国際情勢などに強い影響を受けるになります。
    バランスファンドは、一般に相関性の低い資産クラスを複数保有して資産総額の下落を抑制することを目的としていますが、USA360はその中でも米国に集中投資したい人向けの割り切ったバランスファンドといえます。
  • 為替ヘッジがない
    為替ヘッジがないので、USA360は米国株インデックスと米国債先物の価格変動の他、ドル円の影響を大きく受けます。
  • 証拠金取引コストが高い
    米国債金利の急な上昇や株価の暴落により、証拠金取引に必要なコストが増加します。USA360は既存レバレッジ・バランスファンドよりも比較的レバレッジ割合が高いため、先物が暴落したときの証拠金取引コストが高くなると考えられます。

米国債券と米国株式の相関

を比較して相関を見てみます。どちらも東証ETFなので円建てで為替ヘッジなしです。

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青色:1656 iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF
赤色:1557 SPDR S&P 500 ETF Trust

このように、株が暴落するタイミングでは債券も同時に下がったことが分かります。ただ、毎度同時に下がる訳でもないようです。難しいですが、相関はそこまで高くないようです。

米国株はこの2年で乱高下しながらヨコヨコの値動きでしたが、米国債券は2018年2月の下落以降、地味に値上がりしています。

注目したいのはやはり株と債券が同時下落するタイミングです。2018年2月の株下落時には、債券も同時に大幅下落しました。2018年年末の株下落では、債券はあまり下がりませんでした。2019年初頭からは利下げで長期債券の価格は上昇傾向となっています。

ドル円(緑色)を載せたものも示します。

チャート画像

青色:1656 iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF
赤色:1557 SPDR S&P 500 ETF Trust
緑色:ドル円(下に行くほど「1ドル○○円」が安くなる)

円は世界的なリスクオフ時に買われやすい傾向があり、ドル円は株の下落時に下がりました。この半年は債券価格が大きく上昇しましたので、ドル円との相関が低くなっているようです。

米国株が大幅に下落するタイミングでは債券下落の他に円が買われる傾向が強まるため、株・債券・為替すべてがUSA360の基準価額を大きく下落させる要因になり得ます。債券は株と比較してゆっくり値が動くので、例えば株と債券が同時に2%下落するというのはなかなかないでしょうが、レバレッジファンドゆえ、株暴落時には1日で3~4%下落することもあるかも知れません。

レバレッジ・バランスファンドとの比較

USA360ファンドとレバレッジ・バランスファンドで最も人気のあるグローバル3倍3分法ファンド(日興)や金をポートフォリオに組み込んだウルトラバランス世界株式(アストマックス)、米国3倍4資産リスク分散ファンド(大和)との比較を行います。

各ファンドの基本情報です。

グローバル3倍3分法ファンド

グローバル3倍3分法ファンド|日興アセットマネジメント

  • 資産配分:株式20%:REIT13.3%:債券66.7%
  • レバレッジ比率300%
     株式60%
     日本株式20%、先進国株式20%、新興国株式20%
     REIT40%
     日本REIT20%、先進国REIT20%
     債券200%
     日本国債40%、米国債40%、ドイツ国債40%、イギリス国債40%、
     オーストラリア国債40%
  • 株式部分:ヘッジなし
  • 債券部分:国債先物
  • 信託期間:2028年9月21日まで
  • 信託報酬:0.484%(隔月・1年決算ともに)
  • 為替ヘッジ:なし

日興AMのファンドマネージャーの構想15年の末誕生したファンドということで、情報開示に積極的でありがたい限りです。

信託期間が2028年10月までの10年間というのがマイナスポイントですが、国内外株式・国内外REIT国債・先進国債券に広く分散されており、「下げにくく、じわじわ上がっていく」ファンドです。

こちらのファンドのポートフォリオ設計は、現代ポートフォリオ理論の効率的フロンティア曲線に基づいています。つまり、逆相関となる複数資産をバランス良く配分しているということです。

また、リスクパリティ戦略(複数資産の組み合わせで、それぞれのリスク量を均等保有すること)に基づいて、固定したポートフォリオ配分になるように、より高くなった資産を売り、安くなった資産を買うという適時リバランスを実行しているとのことです。

ファンドマネージャーの売買の腕前に依存せず、ルールに沿って機械的に売買しているのはメリットと考えます。

為替ヘッジは原則ないものの、200%の債券部分は先物取引を活用しているため、為替リスクがほとんどないというのが強みのようです。

詳しくは、
ファンド拡大鏡 日興アセットの「3倍3分法」 レバレッジに活用する先物投資、分散強化と収益拡大を両立

https://www.nikkoam.com/files/about/newsroom/kiji/2019/190719_01_j.pdf
(配信終了予定日2020/7/17)

をご参照ください。熱のこもった論文です。著者は稲沢友似という方ですが、おそらく本ファンドの設計者でしょう。たいへん勉強になります。

本ファンドに対して、USA360のメリットは

  • 信託期間が無制限
  • 米国に集中投資できる。米国は債券利回りが比較的高いため、リターン向上
  • レバレッジ比率が360%と60%ほど高いため、リターン向上

デメリットは

  • 米国へのカントリーリスクが高い
  • レバレッジ比率が高いため、下落率が高くなる

ということです。

ウルトラバランス世界株式

【バランスファンドでリターンを追求】新しい運用のカタチ~ウルトラバランス 世界株式~

大きな特徴は、

  • 世界株式に最小分散株式ETFであるACWVが入っていること
  • 金が入っていること
  • フランス国債が入っていること

です。金は世界的な株式市場の暴落局面で上昇する、株価との逆相関が大きい資産クラスです。しかし金そのものは値上がり益しかないため、暴落局面以外では基準価額を押し上げる効果があまり見込めません。米国金先物はドル建てのため、暴落局面では円高になりやすい傾向にしたがって基準価額が下落しやすいと考えられます。

ACWVは最小分散ETFですから、良くも悪くも価格変動がなめらかです。リスクを抑えるという設計思想でしょうか。

またフランス国債を採用した理由は良く分かりません。日本国債35%よりも多いのも良く分かりません。リターンと為替ヘッジのため、米国債券と日本国債に振り分けた方が良いのではないかと思う位です。

追記:本稿コメント欄の 通りすがり さんによれば、フランス債券先物のキャリー利益を狙ったものという推察がありました。お詳しい説明となっています。

チャート分析などはこちらの方が詳しいです。勉強になりました。

ウルトラバランス 世界株式: 世界株式・債券・金に分散投資するレバレッジドバランス投信 | hassのまったり投資譚

このファンドは金が入っているため、私はあまり食指が動きません。また、フランス国債がやはり余計に思えます。過去20年間のバックテストで21倍というシミュレーション結果は、今後実現するのかどうか見ものです。

米国3倍4資産リスク分散ファンド

米国3倍4資産リスク分散ファンド(毎月決算型) 有価証券届出書(内国投資信託受益証券) 2019年09月27日提出 - 投資関係がわかる「有報速報」

毎月決算、隔月決算、年2回決算の3種類があります。

特徴は

です。リスク資産を均等化したポートフォリオということは、リスクパリティ戦略を採用しているということでしょう。したがって、リスクの低い米国債や金を多めに、リスクの高い株式は少なめにするということでしょう。また毎月リバランスをするとしています。

私は3つの理由でこのファンドは買いません。

  • 信託報酬がアクティブファンド並みに高い
  • 金が組み込まれている
  • ポートフォリオが固定化されていない(公開もされていない)

同じ米国を投資先としているUSA360よりも米国REITが含まれている分、分散していて良いとは思いますが、いかんせんコストが高いです。まったく長期投資に向きません。また、ポートフォリオが変動するため、シンプルさに欠けます。

USA360の活用法

楽天・米国株式インデックス・ファンドの代替として

我が家では、長期投資として楽天・全米株式を買っており、このファンドに充てていた資金を新たに充てようと考えています。具体的には

から

  • 楽天・全米10%、USA360 90%

とするつもりです。このような資産配分ならば楽天・全米100%を維持したまま米国債270%を同じ資金で持つことができます。ただし、レバレッジ取引に晒す割合も90%増えることに注意をしていくつもりです。

そして、USA360は他のレバレッジ・バランスファンドと同様に米国債先物取引のため、現物で米国債米国債ETFを買うよりも為替リスクが低くなることが予想されます。

グローバル3倍3分法ファンドの補完ファンドとして

USA360はシンプルに投資先は米国なので、単体で買うよりも、他のバランスファンドと組み合わせると良いと思います。例えば、レバレッジ・バランスファンドとして人気のあるグローバル3倍3分法ファンドとの組み合わせでは、米国株と米国債のポジションを増やすことができ、米国が魅力的な投資先だと思う人には使いやすいファンドと言えます。

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