はじめに
私は仕事でトビタテ!留学JAPANの補助金を使って海外研修に行きたい学生の指導をしています。指導をしていて、明確なキャリアプランをもって審査に進む学生はあまり多くなく、むしろ、将来についてあやふやだったり、「お金をもらって安く海外旅行がしたい!」などという動機をもって審査に進む学生もいたりします。
そのような動機に対しては「いけない事だ」と残念に思う人もいるかとと思いますが、私は不純な動機でもOKだと考えています。採用されるためには、自分のこれまでの歩みとこれからのキャリアを真剣に考えて、それを誰かに伝えるということができなければいけませんので、そういったキャリアプランを考える良いきっかけになるのではないかと考えています。
本稿では、トビタテ!留学JAPAN 高校生コースに採用されるための具体的な対策を考えていきます。なお、この対策はトビタテ!留学JAPAN 高校生コースだけではなく、他の高校生年代の補助金応募にも使えると思いますので、高校生の皆さんはぜひ参考にしてください。下記の指導をした後では、学生さんは皆自分の将来を自分の言葉で喋れるようになり、トビタテの申請書を具体的に書くことができるようになります。
自己分析をしましょう!
トビタテの申請書を書き、面接で説明をするためには留学の目的と意義を明確にすれば良いです。留学の目的と意義を明確にするためには、あなたのキャリア(仕事・人生)におけるトビタテの位置づけを考えれば良いです。したがって、トビタテの申請書を書くためには、まずあなたのこれまでの歩みとこれからの展望について振り返れば良いということになります。自分自身を知るための作業ということで、この作業を「自己分析」と言います。言い換えれば、誰かに「Who are you?(あなたは何者なのか)」と言われたときにあなたはどう答えるかということです。自己分析をすれば、あなた自身のリアリティのある言葉で、あなたしか書けない熱意のあるトビタテの申請書ができます。また面接でもあなたの熱意を審査員に伝えることができます。
自己分析の方法(一例):
- なるべく考えが活性化するように、ゆったりと何時間か考えられる時間帯を選び、快適な場所で行う。
- 以下の自己分析項目について考え、頭に思い浮かんだキーワードをどんどん書く。具体的なほど良い。30個以上書けると良い。自分の考え・行動を肯定的・発展的に捉えるのがポイント。
- そのキーワード同士の関連性の大きさに沿って線で結ぶ(キーワードが繋がったものが自分の考えのまとめになる(「マインドマップ」で検索してみてください)
- 過去・現在・未来で、自分のキャリアについての考えが線でつながると良い。
自分のキャリアについての自己分析項目(一例):
- 【将来】自分はどんな職業に就きたいか?(例:海外で活躍する技術者になりたい、人命を救う技術を開発したい、人の心に寄り添う仕事に就きたい、空港で働きたい、電車の整備士になりたい、など)
- 【将来】自分はどんな人生を歩みたいか?(例:海外に住みたい、色々な国の人と友達になって刺激的な生活を送りたい、世界一周しながら生活したい、など)
- 【将来】の夢・目標・成し遂げたいことは何か?
(例:子供の貧困をなくしたい、お金に困らず暮らしたい、南極に行ってみたい、など) - 【過去】自分は将来何がしたい/どんな職業に就きたいと思って高専に入学したか。
- 【現在】自分は将来のために何を頑張っているか。
- 【現在】自分はどのようなことに興味・関心があるか。熱中できるものは何か。趣味は何か。
自分のキャリアを、様々な社会問題(国際的、地域、人権、医療、環境、食糧、外交)などの解決・改善に繋げて考えられると良いです。また自分はそういった諸問題に対して何らか(具体的なほど良い)の関与をし、貢献をしたいと考えられると良いです。世界の中の自分の位置づけを考えてみると良いです。したがって、そのようなことを自分の興味・関心の及ぶ範囲で知っていくことが大切です。
自己分析に基づいたトビタテ留学の位置づけを考える
- 何のために留学をするのか?
- トビタテ留学に行くことは将来何の役に立つか?
- 留学の目標は何か?そのためにする必要のあることは何か?
【重要】トビタテで奨学金を受ける自分は社会に対してどのような恩返しや貢献ができそうか。(トビタテは返済不要の奨学金でありその出資者は主に国内企業です)
自己分析シート(一例)
ここに挙げたシートは、私が学生に渡しているシートになります。ひたすら文章を書くためのシートです。絵を描いた方が考えがまとまるという人は、画用紙などの大判の紙を用いると良いでしょう。過去・現在・将来に分かれていればOKです。
終わりに
いかがでしたか?申請書はいきなり書こうと思っても書けません。心の準備が必要です。心の準備には、時間が必要なので、早めに取り掛かりましょう。