自立を願う父さんのお金教育

就学前児童の父です。学校ではあまり学ばないお金の教育をいつ・どうやってわが子に教えていこうかを考えていきます。投資もやらせたいので、父親自ら投資実践しています。家族みんなの力で資産形成を目指すブログです。

アメリカ合衆国バーモント州と鳥取県とを比較考察し、学びを深めることで採用へつなげる

この記事は、鳥取県が主催する下記交流事業の採用に向けた勉強のために記したものです。

www.torisakyu.or.jp

採用されるための面接のポイント

  • 青少年交流事業の目的・意義を踏まえた応募書類・面接内容とすること
  • 「交流」は「観光」とは異なる。交流は、相手(バーモント州およびバーモント州の住民)の歴史・文化などのバックグラウンドを理解・尊重し、自分(鳥取県住民)の理解も深めつつ、相手と自分の双方の関係が深化・発展することを目的としている。一方の観光は単に自分の見聞を広めることを目的としている。
  • したがって、交流という目的のためには、「バーモント州のことを広く学ぶこと」「地元鳥取県のことを広く学ぶこと」「バーモント州や地元鳥取県のことを日本語・英語両方で説明すること」が必要になる
  • 話はできるだけ具体的にする。具体的な話には感情が乗るため、面接員の感情を揺さぶるポジティブな原動力となる
  • 笑顔で面接員の目を見て話す。また、面接員の話を頷いて聴く。

応募者が弁えておくべき重要なポイント

  • 学びたい・見聞を広めたい何かを調べながら明確にする。具体的であればあるほど良い。
  • その何かについて学び深め、説明できること
  • 「自分のため」ではなく、「自分以外の誰かのため(県民のため)」という公の見方をすること
  • 自分はバーモント州との交流事業において、どのような貢献ができるかを明確にする(自分が興味・関心のある何かと関係づけられていると良い)
  • 県の事業であり、税金が充てられていること。したがって、広報などの役割が求められる
  • 面接員が「この子ならば」と思えるような振る舞いを面接の場で見せること
  • バーモント州に行った自分を想像して、誰と交流するのか、そのためにどのような情報があると良いのかを考える。自分の知的好奇心を発揮する。
    • バーモント州の特産品は何か?(例えば、メイプルシロップです。日本では、バーモントカレーの話で有名ですね。あのバーモントはバーモント州のことです)
    • バーモント州で好んで食べられているものは何か?
    • バーモント州で人気のスポーツは何か?
    • バーモント州の主要産業は何か?
    • バーモント州の有名企業は何か?(例えばアイスクリームのBen & Jerry'sなど)
    • バーモントの人々の信じる宗教は何があるのか?
    • バーモント州が抱えている若者についての社会問題は何か?(鳥取県は若者が都市部に流出するなどの問題がある)
    • バーモント州の高校生の日常は自分とどのように違うのか?
    • バーモント州の高校の時間割、学則、部活動などはどのようなものか?
    • バーモント州の高校生の進路はどのようなものか?
    • バーモント州の高校生が抱える問題はどのようなものがあるか?
      成績不振、いじめ、アルコール依存、薬物依存など
    • バーモント州の高校生はどのようなものにお金を使っているのか?
      日本人高校生と大きく異なるのは、おそらく「寄付」がかなり「普通のこと」だということだろう
    • ホストファザー・ホストマザーの就いている仕事
    • ホストファミリーの信じている宗教              など
  • ネットでいくらでも情報が手に入るので、できるだけ準備してから行く。英語が殆どできなくても、バーモントならではのキーワードを出すだけで場を盛り上げられるはず。

鳥取県アメリカ合衆国バーモント州との提携関係の基本

経緯
2004(平成16)年にバーモント州日米協会と鳥取県国際交流財団が姉妹組織協定を締結。2008(平成20)年に鳥取県バーモント州との間で「国際親善に関する覚書」を締結。
2018(平成30)年に鳥取県バーモント州との間で「姉妹提携協定書」を締結。

交流方針
青少年交流や文化交流、医療交流など、幅広い分野での交流を通じて、国際理解および英語教育の充実を図る。

将来像

  • 奥が深く継続性のある交流によって、地域間の強い絆ができる。
  • 国際感覚ゆたかな県民が育まれ、鳥取県が世界に開かれた地域となる。

国・地域別の国際交流の方針・方向性/観光交流局/とりネット/鳥取県公式サイト

直近で姉妹提携協定を締結している。これは、友好関係のさらなるステップアップを双方が行うことを目的としている。姉妹提携協定書の記述は以下である。

これまで行ってきた青少年交流や大学間の学術交流をさらに拡大するとともに、教育、スポーツ、商業、文化芸術など、より幅広い分野においても、交流の発展により、互いに利益と繁栄を享受できるよう、今後も両地域の絆を深めていく
https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1154203/%E5%A7%89%E5%A6%B9%E6%8F%90%E6%90%BA%E5%8D%94%E5%AE%9A%E6%9B%B8.pdf

具体的には、H30年度の鳥取県バーモント州青少年交流事業(青少年派遣)でのイベントが参考になる。

  • ニューヨーク市内視察
  • ニューヨーク鳥取県人会との交流
  • ホストファミリーとの交流(ホストは派遣青少年と同年代の高校生)
  • Burlington高校体験(滞在先のホストの通う高校)計2日間
  • Essex高校体験(滞在先のホストの通う高校)計2日間
  • キーピング・トラック(野外調査)(両高校滞在者)
  • 州政府訪問
  • 環境関係視察:バーモント歴史博物館、クラフトギャラリー(環境に配慮ある事業展開)、州政府魚類生物局
  • 大学視察(バーモント州立大学、ミドルベリー大学)
  • 研修発表
ニューヨーク鳥取県人会

規模は小さいながらも、会員を増やしながら活動をしている模様。

ニューヨーク鳥取県人会

バーモント州の地理

Vermont州の略号:VT
県と州との大きさ比較

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微妙に縮尺は一致していませんが、参考にはなります。バーモント州の広さは24,923km2、鳥取県は3,507km2なので、バーモント州鳥取県の約7倍です。中国地方(鳥取、島根、岡山、広島、山口)が31,921km2、中国地方から山口県を除くと25,809km2で、VTと同程度となります。ちなみに四国が18,297km2、九州が36,782km2です。

「州」は実は日本の県よりも国に近いと言えます(後述します)。

また、両地域は少し似ています。

米国のBosWash(Boston-Washington)と日本の太平洋ベルト茨城県大分県)との比較で、バーモント州はBosWashの枠から100km程度離れています。鳥取県も、山陽側から100km以上離れていますので、似ています。

BosWashには北東回廊(Northeast Corridor, NEC)という鉄道幹線網があります。日本でいうならば東海道山陽本線です。バーモント州鳥取県はともにこれらの幹線網からは離れており、地理経済的に似通っていると言えます。つまり、田舎ということです。

バーモント州拡大地図

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  • 州の人口:625,741人(全米第49位)
  • 公用語:指定なし
  • 家庭で話される言語:英語95%、フランス語2%、スペイン語1%
  • 人種:白人94%
  • 州都:モントリピア(Montpelier)
    人口8000人ほど。人口最大の都市はバーリントン(Burlington)市の42,000人。
  • 州都モントリピアとバーリントンは幹線道路である国道89号で40マイル弱(1マイル=1.6km換算で64km弱)ほどなので、鳥取市から国道9号で大山町位までの距離です。

そもそも州とは何か?県と何が違うのか?

そもそも、国と一言で言っても単一制国家と連邦制国家があります。

中央政府と地方政府の関係は単一制国家と連邦制国家に大別される[1]

単一制国家では、国家主権は中央政府が有しており、憲法制定権も中央政府に独占されている[1]。一方、連邦制国家は、元は別々の国家だったものが集まって一つの国家を形成している[1]。連邦制国家は他国との関係では単一主権国家であり、内部的には憲法制定権限(州憲法憲法制定権限)を含む権限の多くが州に留保されている[1]
地方政府 - Wikipedia

アメリカは50の州と連邦区(ワシントンDC)からなる連邦共和国です。日本は1都1道2府43県で47都道府県からなる単一制国家です。アメリカの州と日本の県はおおよそ同じ数なのでアメリカの州と日本の県は同じようなものだろうと思うかも知れませんが、地方行政的に言えば、州と県はまったく規模の異なる行政団体です。上記の引用によれば、「もともと別の国家であったものが集まって一つの国家を形成している」ということです。したがって、アメリカの州は日本の県と同じようなものと捉えるのは誤りで、どちらかというと国に近いです。

具体的には以下の表のような感じです。

  日本の県 アメリカの州 備考
権限の範囲 狭い 極めて広い  
通貨 ない ない 合衆国憲法の定めによる
外交 ない ない
憲法・法律 ない(法律に基づく条例はあり) ある(例えば民法や刑法も州ごとに異なる)  
政府 ない ある  
軍隊 ない ある  
警察 ある ある  
裁判所 中央政府が設置する。 連邦が設置する連邦裁判所の他、州が設置する州裁判所がある  
税制 中央政府国税地方税ともに定める 連邦政府が定める連邦税の他、州政府が定める州税がある  

米国の統治の仕組み – 州政府|About THE USA|アメリカンセンターJAPAN

裁判所でいうならば、日本に最高裁は1つだけしかありませんが、アメリカには連邦に最高裁があり、50の州にもそれぞれ最高裁があります。

軍隊も、日本には自衛隊しかありませんが、アメリカには連邦軍(いわゆる米軍)と州知事の指揮下にあり必要に応じて連邦軍編入される州兵(National Guard of the United States)と州が独自に設置し、州知事の指揮下にある州防衛軍(State defense forces, SDF)があります。州防衛軍は連邦軍編入されません。
州防衛軍 - Wikipedia

州防衛軍については少し掘り下げてみます。州防衛軍は志願制度の軍隊ですが、米国Wikipediaによると、

Membership
Membership in the Vermont State Guard is open to all citizens of Vermont aged 17 to 80. Prospective members must pass a background check conducted by the Vermont Criminal Investigation Center (VCIC), and pay the accompanying $30 processing fee, as well as cover the cost of their own uniforms. Membership is open to civilians with no prior military service.[6] The Vermont State Guard (VSG) is continually recruiting new members, as the VSG role has increased and become more critical as natural disasters and global conflicts have increased in scale and prevalence.[7]
Vermont State Guard - Wikipedia

とあります。つまり、

  • 17歳から80歳までの軍事サービスを受けていない市民からの志願制
  • 犯罪歴などのチェックに合格する必要あり
  • 制服のために30$を払う必要あり
  • 任務は主に自然災害や世界規模の紛争

ということで、日本でいうところの自警団や消防団に近いようです。17歳から入隊できますので、若者がキャリア形成の一環で入隊してそうです。ちなみにバーモント州防衛隊は陸軍で、武器使用は競技関連に限られているようです。

税制についても掘り下げてみます。

日本には国税の他に地方税がありますが、県の権限は税率の決定などに限られています。アメリカの場合、連邦政府が定める連邦税の他、州が定める州税があります。例えば会社が納める法人税についても州ごとに大きく異なり、税金が安い州と高い州でかなり大きな差があります。

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https://www.dir.co.jp/report/research/economics/usa/20151027_010263.pdf

ワイオミング州サウスダコタ州ネバダ州では、所得税が法人・個人ともに0%です。対して、ニューヨーク州は法人所得税が7.1%、個人所得税が4.0-8.82%と極めて大きい開きがあります。また、相続税のない州などもあります。日本では、必ず相続税があります。

バーモント州は、個人所得税が3.6%から9.5%の5段階による累進課税方式です。日本も累進課税方式ですが、5%~45%の7段階である日本より比較的低い数値です。

No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

バーモント州の高校と大学

アメリカの高校の学年
  • 一般的に9~12年生までの4年間
  • 9年生が日本の中学3年生、10年生が高校1年生、11年生が高校2年生、12年生が高校3年生
  • 9年生はFreshmen、10年生はSophomore、11年生はJunior、12年生はSeniorと呼ばれている
アメリカの公立高校と私立高校

アメリカにも公立高校と私立高校があります。公立高校は税金によって運営されており、学費は無料です。一方の私立高校は、学費が掛かります。公立高校は地域の学区内から入学する生徒が多く、社会に出るためのセーフティネット的な意味合いが強いです。一方、私立高校は概ね寄宿舎を備え、大学進学する生徒が多いとのことです。

オールシーズンズ:アメリカ高校制度について

Burlington high school

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生徒数1000人、1学年250人。

Essex high school

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Burlington high school, Essex high schoolどちらも公立高校です。したがって、地元の生徒が中心であると思われます。

バーモント州の人種構成は、白人が94.3%です。したがって、生徒も殆ど白人であると思われます。そもそもバーモント州東海岸側であり、ヨーロッパからの開拓者が多く住んでいました。その末裔がバーモント州の白人ということになります。

それでは、「黒人はなぜあまりいないのか?」という疑問が湧くでしょう。その答えとして、知恵袋のベストアンサーを拝借します。

アメリカが植民地であった時代に、各植民地の形成に違いがあったからです。
アメリカの北東部の移民は、イギリス本国で迫害にあった宗教勢力が家族ごとに植民者となって造られてゆきました。
そのため、経済基盤が零細で、大規模な農地の確保や開拓などができませんでした。
それに大して南部地域では、大規模なプランテーシヨンが導入されたため、多数の労働力が必要でした。
メキイコなどのラテンアメリカでは、多数の現地住民がいたため、原住民を使用してのプランテーションが可能でしたが、南部アメリカの原住民の数が少なく、圧倒的な労働力不足になっていました。
そのため、アフリカの黒人奴隷が大量に採用されたのです。
アメリカの黒人奴隷導入の実績は、スペインの植民地であった西インド諸島で実績がありましたから、アメリカ南部が特別という事ではありません。
西インド諸島では、原住民の過酷な扱いにより病気などの抵抗力が低下する事で、疫病の蔓延でほとんどが死滅してしまった)
アメリカ南部で、大量の黒人奴隷が必要であり、積極的に導入されたため、アメリカ南部で黒人の比率が高いのです。

アメリカの南の方に黒人が多いのはなぜですか? - アメリカが植民地であった時... - Yahoo!知恵袋

北部入植者はイギリスなどで迫害に遭った宗教勢力が植民者となったということです。彼らはプランテーションなど大規模な農地経営などができず、莫大な労働力は不要でした。そのため、アフリカの黒人奴隷があまり必要なかったということです。

なお、バーモント州南北戦争では奴隷制度廃止派の北部側に属し、北部が勝利しました。そういった経緯もあり、バーモント州は比較的リベラル派が多い地域です。議会も民主党が第一党です。

バーモント州 - Wikipedia

バーモント州の歴史 - Wikipedia

リベラルが多いため、バーモント州は例えばアメリカでは最も古くから事実婚を認めている州のひとつですし、同性婚を認めたのも比較的早かったです。

ということで、アメリカの中でもヨーロッパの匂いが強い州であると言えます。

大学

ということで、上記2校はどちらも鳥取の大学とは比較にならない位の名門校です。

まとめ

Wikipedia読みかじりのペラペラな理解であっても、ちょっと知っているのと全く知らないのとでは大きな違いです。

特に面接審査というのは、そのような0か1かというキーワードを頼りに採点されることも少なくないです。

したがって、読みかじりだろうが何だろうが、自分がもっている知識と技能を総動員して面接に挑み、力を出し切ることが大切です。

面接のために得た知識などは、採用をもらった後に、現地バーモント州でのコミュニケーションに大いに活用できることでしょう。

© 2010 自立を願う父さんのお金教育