はじめに
金は古来から人類にとって特別な金属であり、貨幣や宝飾品として用いられてきました。現代でも世界中で各国通貨と交換でき、インフレや地政学的リスクをヘッジする投資商品として世界中で取引されています。日本で金を地金商から買うと消費税10%が上乗せされた、税込み価格で代金を支払います。
ところが、欧州、シンガポールや台湾といった国では、金地金は消費する物ではなく、投資商品と見なされ、消費税(GST)の対象とならず、非課税で金を購入することができます。
したがって、渡航先でやるような消費税払い戻しの手続きは不要です。
ちなみにシンガポールのGSTは9%(2024年9月現在)です。
ということで、シンガポール渡航のついでに金地金を買ってみました。
課税関係の前提
日本の税関によると、個人の金の持ち込みに関して、海外での購入価格が200,000円以下の場合は免税となります。ただし、購入重量に関わらず帰国時に申告する必要があります。
ということで、購入額は上限20万円でなければなりません。したがって、非課税国で金を購入し、国内で即売却したとして、儲かるのは上限2万円(消費税10%の場合)となります。
買ったお店【BullionStar】
シンガポールの中でも比較的ハイソな街とされるクラーク・キーにあります(クラーク・キー駅から徒歩数分です)。
普通に観光客とみられる方々が来店していました。
PAMPやArgor-Heraeousといった有名ブランドから
自社BullionStarブランド(有名ブランドと比較してスプレッドが少なく、入荷するとすぐに売り切れるようです)も飾られていました。
手を入れて持ち上げることができる巨大ゴールドバーが展示されていました。店内の案内のおじさんが「You can try」と言ってくれたので上げてみましたが、流石の重さ!こちらのお店のアイコンのようでした。
買ったゴールドバー
買ったのはスイスの地金メーカー・Argor-Heraeousの10gのKinebarです。Kinebarとは、スイス・OVD Kinegram AGが作った回折画像可変装置で、スイス政府に独占的に供給されているとのことで、偽造防止対策として施されています。詳細な技術については不明ですが、おそらく金表面に微細なスリットを多数入れることで光の回折模様を浮かび上がらせているのだと思います。Kinebarがあるからといって金の価値が上がるわけではありませんが、よりセキュアな感じがしますし、キラキラしていて綺麗です。
なお、こちらの10gはシリアル番号も付されていて、さらに安心感があります。
買い方
- 受付のおじ様に買う旨を伝え、整理券を出してもらいます。
- 番号が出たら窓口に行きます。窓口は3つありましてすぐ呼ばれました。
- 買いたい商品を伝え、値段と実物を確認後、その場で精算します。
- 精算方法は現金(シンガポールドルの他、米ドル、日本円なども可能とのこと)、クレカ(VISA, Master, JCBも可能)はできるようでした。日本の地金商は現金のみですので、クレカが選べるのは観光客に優しいと思いました。
こんな感じでその時の価格を店員が表示していました。私が買った商品は現金でシンガポール$1183.21でした。
窓口で「クレカ支払い」の旨を伝えると、クレカ手数料込みの価格が表示されました。
$1222.26となりました。差額約$39(手数料3.3%)と結構高いですが、多額の現金は持ち歩きたくなかったですし、街の両替商で偽札を掴んでしまっていたら大事でしたので、この程度の金額は安心代と考えました。
さて、安く買えたのか?
決済金額は139,779円でした。$1222.26ですので、114.46円/ドルでした。9月28日の為替は仲値で111.51円/ドルですので、2.95円/ドルの手数料(1222.26×2.95=3,605.7円)が掛かったことになります。なお、現地ではシンガポールドルで決済しています。この日本円での金額は、購入した日の為替ではなく、クレジットカード会社(今回の場合はJCB)の定めた日にちの為替手数料を含んだものとなっています。
翌営業日の日本の某通販の地金商のHPでは、142,937円でした。ここと比べると安いですが、田中貴金属の税込小売価格は13,751円(9/28)ですので、やや国内で買った方が安いということになりました。ただ、田中ですと10gバー購入での手数料は4,400円、業界でも最安値圏の日本マテリアルであっても1,980円ですから、手数料込みではほぼ同じ金額となることが分かりました。
純粋に金投資のために買うということでしたら、やはりシンガポールで、レートの良い街の両替商を使い、現金で買うべきかなと思いました。または日本国内で消費税を納めた上で、現金で買うのが無難と思いました。
ともあれ、シンガポール旅行でゴールドバーを買うというのは良い思い出となりました。
税関申告
日本の税関によると、金地金は重量・金額に関わらず深刻さが必要とされています。従来は機内で配られる紙に書いて、帰国時のイミグレの後の税関で申告でしたが、今回はシンガポール・チャンギ空港の無料Wi-Fiを利用してオンラインで申告しました。
申告後、税関からメールでQRコードが送られてきます。そのQRコードを帰国時の税関のゲートでかざした後、税関審査官に商品を見せて、簡単な質問を受けて終了です。