我が家の娘(2歳9ヶ月)は現在イヤイヤ期の真っ盛りです。親にとって子供のイヤイヤ期は早く通過してほしいことですが、同時にお金教育の土台となる【非認知能力】を伸ばすための好機と考えています。
非認知能力とは
非認知能力は点数化できる能力である認知能力の対義語で、PDCAサイクルを持続的に回して物事を進めるための能力といえます。具体的には例えば次のようなものです。
◎目標を達成するための「忍耐力」「自己抑制」「目標への情熱」
◎他者と協力するための「社会性」「敬意」「思いやり」
◎情動を抑制するための「自尊心」「楽観性」「自信」
※幼児期から育成したい! 「非認知能力」とは?【前編】|ベネッセ教育情報サイト
マシュマロ実験
スタンフォード大学での有名な心理学実験です。「今マシュマロを1個あげるけど、もし食べずに10分待っててくれたら、もう1つあげる。一人で待っててね」と言って待つことができた子供は、待てなかった子供よりも成長してからはるかに成功していたという調査結果でした。
※実際の実験風景
www.youtube.com子供たちの悶々とした表情やそわそわした態度、気を散らすような行動は非常に微笑ましいですね。
マシュマロという目先のものに流されずに、感情を制御したり気をそらせたりして10分待ち、目標を達成できた子供は、大人になってもその能力が持続していたということです。
マシュマロをお金に置き換えれば、貯金とまったく同じですね。
なお、2018年のマシュマロ実験の追試では、子供が2つ目のマシュマロまで待つためには「子供の社会的・経済的背景」が重要であるという結果が得られたということです。つまり、子供が裕福であれば、食べ慣れている目先のマシュマロにも我慢できるけれども、貧困であれば目先のマシュマロを我慢できずに食べてしまうということです。
詳しくは下記記事を参照してください。
gigazine.net
子供を取り巻く環境は、子供の精神的余裕に直接的な影響を及ぼすので、ある意味当然かも知れませんね。
子供にお金教育を施すためには、ある程度経済的・社会的に余裕のある生活でなければならないということですね。当たり前の話ですが。
お金教育と非認知能力
お金教育の中核である貯金へのモチベーションを身につけさせるためには、非認知能力が非常に重要です。
- 目先のものを買いたい【衝動】を抑え、【我慢】してお金を貯めること
- 【目標への情熱】を保ちながらお金を貯めること
です。そこで、子供のイヤイヤ期における日常生活の中で、以下の非認知能力を身につけさせるための躾をケーススタディ形式でまとめました。
- 子供にとって嫌悪感のあることを先延ばしにせず、やりたいことを後回しにできる
- 子供にとって嫌悪感のあることをするときに、感情を抑えて(駄々をこねない・泣かない)やり過ごすことができる
ケース1:食事の時間になっても「嫌!」でおもちゃで遊び続ける
「ご飯を食べた後におもちゃで遊ぼう!」と粘り強く食事をさせるよう促しましょう。「おもちゃはいつでも遊べるけれど、ご飯を食べることは生きるために必要な、とても大切なことだよ」と理由をしっかり説明すると食育にもなるでしょう。
ケース2:歯磨きのときに「嫌!」で歯磨きさせてくれない
「歯磨きしないと口の中のバイキンマンが悪いことをするよ!歯磨きをしたらおいしくご飯が食べられるよ!」と粘り強く歯磨きをするよう促しましょう。
ケース3:鼻水の吸引のときに「嫌!」で吸引させてくれない
「吸引しないと風邪が治らなくてお外で遊べないよ!吸引をしたら鼻が通って気持ち良いし風邪も治るよ!」と粘り強く吸引をするよう促しましょう。
ケース4:公園でいつまでも遊び続け、帰らせてくれない
「今帰ったらお家でご本を読んであげる(ご褒美を与える)よ!」と粘り強く帰るよう促しましょう。ご褒美を与えないとしなくなる恐れがあって「ご褒美は良くない」という意見もあるかも知れませんが、程度問題であると思います。
ケース5:子供が言いつけに従ったら褒めてやる
言いつけに従ってくれたら、その場で猛烈に褒めてやりましょう。従ったときに子供は「乗り越えた」と言えますので、すぐに褒めて正のフィードバックを与えることが極めて重要です。子供は自分の判断が正しかったと肯定できますし、親に認められて自信がつきます。
妻は抱いてやりますし、私は頭を撫でてやります。そうすると、子供も例えば「泣かなかったよ」と言ってくれます。子供自ら感情を抑制できたことについて達成感を得ている、重要な瞬間です。
イヤイヤ期は妻だけにやらせず、夫も率先して対応し、苦楽を共有する
この躾は妻と協力して行うことが欠かせません。そもそも父親である自分は躾けたくてもその場にいない場合が多く、実際には妻にしてもらうことが多いからです。また、長期間の子供の「嫌!」に逐一応対するのは結構辛かったり面倒なため、投げ出したくなるので、夫婦での意見交換(愚痴の共有)で乗り切ることが重要だからです。
また、この躾によって子供の非認知能力が向上すると考えると、子供のイヤイヤ期を乗り切るモチベーションを上げることができると期待できます。励ましになるということです。
関連書籍です。
マシュマロ実験の遂行者である著者による著作です。研究結果について述べています。
私たちは子どもに何ができるのか ― 非認知能力を育み、格差に挑む
- 作者: ポール・タフ
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2017/09/06
- メディア: Kindle版
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2018年の追試を見込んだようなタイトルの著書です。こちらは、理論的な内容ではなく、より実践的な内容が述べられています。
優秀な頭脳は裕福な家庭から生まれる、というのはある意味当たり前で、資本主義下の世界で格差が生まれる背景になっています。格差を解消できなければ、つまり富を効果的に分配できなければ、資本主義はいずれ人類を滅ぼすと言われています。
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