自立を願う父さんのお金教育

就学前児童の父です。学校ではあまり学ばないお金の教育をいつ・どうやってわが子に教えていこうかを考えていきます。投資もやらせたいので、父親自ら投資実践しています。家族みんなの力で資産形成を目指すブログです。

「トビタテ!留学JAPAN」企画・立案者に学ぶ、学びを深めたい学生がもつべき心掛けとファシリテーションのあり方を考える

昨日、トビタテ!留学JAPAN(高校生コース)の壮行会・事前研修会に、指導学生6人連れて会場の公文教育会館(大阪市)に行ってきました。実は、この会に参加するのは3回目になりますが、毎回新たな学びがあります。

本稿では、何らかの行動を起こすための生徒がもつべき心掛けはどうあるべきかということについて、トビタテ!の壮行会・事前研修会の様子を交えて考えていきたいと思います。

若い感性あふれる“手作り”の壮行会

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このトビタテ!留学JAPAN(高校生コース)の壮行会は、受付から司会、ビデオ制作、写真撮影、事前研修会のファシリテーターまで、今までのトビタテ!留学JAPAN(高校生コース)で採用されたOB・OGが主体的に関わって作られています。このOB・OGは主に大学生のようです。

とはいっても、完成度の低い運営ではまったくありません。トビタテの壮行会自体は、文部科学省幹部(昨日は文部科学副大臣浮島智子議員でした)が列席するようなれっきとした式典です。そこに若者特有の前のめりな感じ(若気の至りとでも言いましょうか)が加わって、大人から見ると非常に熱気あふれる会になっています。

今年度トビタテ!で留学に行く生徒たちの意気込みとトビタテ!で留学に行ってきた子たちの活動報告・将来への意気込みも聞けました。とにかく彼らはキラキラ☆彡としていました。そういうキラキラな高校生年代で志の高い子供たちが集まった会でした。

写真:浮島副大臣から代表生徒へトビタテ生としてのプレゼント(A4の「トビタテ」ロゴステッカー)授与をしている様子です。

トビタテ!企画・立案者である船橋力氏が大事にしている言葉「情熱・好奇心・独自性」

トビタテ!の立案者は、船橋力氏という人です。

www.youtube.com氏は2009年世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーに選出され、ダボス会議に参加したことがあるような、日本教育界の若きリーダーです。

詳細は以下の記事で。

文部科学省 官民協働海外留学創出プロジェクト|選ばれた人だけの、会員制転職サイト「BizReach(ビズリーチ)」
文部科学省 官民協働海外留学創出プロジェクト 「トビタテ!留学JAPAN」 プロジェクトディレクター 船橋 力 氏 | 人事部長の『想い』切りトーク

氏は壮行会で直接生徒たちに激励しました。その中で、トビタテの理念として重視する人材のもつべき心を端的に言っていました。

それが

情熱・好奇心・独自性

の3点です。

これらをもっていて、海外で成し遂げたい具体的内容がある生徒が採用される奨学金プログラムがトビタテ!留学JAPANだと言い換えることができます。

情熱・好奇心・独自性はトビタテの審査だけに限らず、おおよそすべての自主的な取り組みに不可欠な心掛けです。情熱・好奇心・独自性が、世界・社会をより良くすること(社会問題を提起・解決すること)への原動力になるためです。

指導教員が学生を指導する際に留意すること

情熱・好奇心・独自性などを発揮して、学生ならではの留学計画を書くために、私がトビタテ!に応募する学生に対して指導上留意することを紹介します。これは家庭でももちろん適用可能です。

ファシリテーターの役目

指導教員は、学生が情熱・好奇心・独自性を自主的にもって課題に取り組めるように指導します。ここでは「指導」というよりも、「ファシリテーション」の方がより的確で、日本語で表現すると、問題解決の答えを学生自身に考えさせて導くような役割です。「寄り添うこと」「向き合うこと」がしっくりきます。指導は最終的に解を与えますが、ファシリテーターは敢えて解を与えないことにより学生に自主性をもたせることを重視しています。

「『やりたい何か』をもっている学生」には、環境を整えてやれば良い

それまでの人生の中で、趣味が高じたりボランティアをしたりして、「やりたい何か」をすでにもっている学生の場合のファシリテーションは、

環境を整えてやれば良い

ということになります。比較的簡単です。

アプリ開発がやりたい!」という学生には、PCやコンパイラなどの開発環境、机と椅子を用意してやれば、とりあえず何か行動を起こします。

ということで、「『やりたい何か』をもっている学生ならば、自分で進められます。

しかしながら、そういった学生は、一握りだと感じます。トビタテ!に採用されるクラスでもそう多くはないでしょう。

「『やりたい何か』をもっていない学生」へのファシリテーション

問題は「やりたい何か」をもっていない学生

「やりたい何かがない」人は、情熱・好奇心・独自性を育めません。

  • 「やりたい何かがない」ので、情熱を傾けることができません。
  • 「やりたい何かがない」ので、何かに対して好奇心を抱くこともありません。
  • 「やりたい何かがない」ので、独自性を発揮することもできません。

私が接する学生の殆どはこちらに分類される学生が多いです。私も長らくそのような感じでした。

「やりたい何かがない」学生は、潜在的なリスクをもつことになります。

  • 身の回りにある娯楽(テレビゲームや娯楽性の高い動画など)に時間を費やしがちになります。
  • 勉強をする目的を見い出せていませんので、退学しないための消極的な勉強になりがちになります。
  • インターンシップ活動や就職活動までの時間がどんどんなくなっていきます。社会に出るまでの準備時間がなくなっていきます。
ファシリテーターは学生の「やりたい何か」を一緒に考えてやる

ファシリテーターの目標(役割)は、

学生との対話から「やりたい何か」を引き出すこと

です。

そのやりたい何かを引き出すためには、テクニックがあります。そのテクニックは

  • 趣味や特技を聞いてみて、話を膨らませる
    学生が言う趣味や特技は、本人にとって当たり前だが、客観的にスゴいこともありますので、ネタになり得ます。
    華奢な女子なのに軍事ネタが好きだったりする、そういうギャップがあると好ましいです。
  • 家族や地域で心配している・気になっていることはありませんか?と問うてみて、話を膨らませる
    学生本人にとって家族や地域の事柄は当事者的な意識が芽生えていますので、ネタにすると深められやすいです。
  • 最近印象に残ったニュースを問うてみて、話を膨らませる
    世界的な課題を学生に引き付けやすいネタになり得ます。

ファシリテーターは、学生の口から出てきた話を膨らませてキーワードやストーリーなどのネタを抽出し、そのネタのもつ世界的・地域的観点を学生に与えてやります。

こうすると、大体の学生が情熱・好奇心・独自性のタネ見つけられます。そうなれば、ファシリテーターとしては安心できます。あとはWebやフィールドワークによる調べ学習などを進めさせ、学生本人の学びを深めさせてやります。

環境を整えてやるのは、この「タネ」を学生が見つけて、ある程度調べたりなど学んだ後で良いと思います。

なお、ファシリテーターは「やりたい何か」がない学生に対して様々な知見を有していると望ましいです。また、その学生から信頼感を得ていることが望ましいです。

保護者はファシリテーターになれる

親などの保護者は、生徒のファシリテーターとして適任です。

学校の先生は、先述のようなファシリテーションを、指導下の子供全員にやりたいところでしょうが、大きい負担のためにできません。また、学生との信頼関係など土台の部分を構築する手間などです。また、教員個人個人でカバーできるネタに開きがあります。

保護者が適任なのは以下のような理由からです。

  • 信頼関係がすでに生徒(我が子)と構築されていること
  • 生徒の趣味・特技・性格などを熟知している
  • 生徒との話題共有において、タブーがない
    ここでのタブーとは、個人情報など扱いに注意を要することや、生徒の琴線に触れるようなデリケートな内容のことです。家庭の家計的なことも含みます。

したがって、保護者が教育をかじった経験があるというような人の場合は、なお適任です。普通のお父さん・お母さんでも、新聞やネットでニュースを読まれるようでしたら、その範囲でされれば良いということになります。

まとめ

本稿では、私がトビタテ指導で学生に行っている、学生の学びを深めるための一つのテクニックについて紹介しました。

保護者はとかく子供の学びの環境整備のみを重要視する傾向があると思っています。本を与えることや塾に行かせることなどが代表的ですね。これらは、生徒が本を読むことや塾に行って勉強することのモチベーションを理解できていなければ、無駄になる可能性が高いです。

そうではなく、モチベーションのタネを子供に見つけさせてやれるようにすべきだと思います。その上での環境整備は、非常に効果が大きくなると思います。

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 自己分析方法について述べています。これは、学生にそれまでの経験などを自己開示してもらい、対話を円滑に進めるために必要な、強力な武器になります。

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